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自動車と自転車との事故における過失割合はどう決まる?

自動車と自転車との事故における過失割合はどう決まるのでしょうか。

結論から言うと、自動車の過失が重く認定されます。自転車の方が被害が大きくなりやすいため、自動車の運転手により慎重な運転が求められると言うことです。

自動車と自転車との交通事故における過失割合の考え方

自動車と自転車の交通事故が発生した場合の過失割合は、交通事故の態様により決まりますが、一般的な傾向としては、自動車の過失が重く認定される傾向があります。

優者危険負担の原則

自動車の過失が重く認定される傾向がある理由は、優者危険負担の原則が適用されるためです。

交通事故では、過失割合が同じだったとしても、より優位にある方の過失を重く算定するという原則です。

自動車と自転車の交通事故では、自転車の方が被害が大きくなりがちです。そのため、弱者保護の観点から、自動車の過失が重くなります。

自動車と自転車との交通事故における過失割合の決め方

自動車と自転車との交通事故における過失割合の決め方の手順を見ていきましょう。

交通事故の態様を確定する

交通事故にはさまざまなパターンがあります。

たとえば、信号や交差点での交通事故ならば、自動車が黄色信号で進入した場合とか、自転車が赤信号で横断していた場合といったようなパターンのいずれかに当てはめられることが多いです。

そのパターンのいずれかに当てはまった場合は、基本割合を確定することができます。

なお、交通事故のパターンは、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準という専門書にまとめられています。

過失割合の修正要素を考慮する

交通事故のパターンに当てはまった場合の基本割合は一般的な基準に過ぎず、個々の交通事故ごとに過失割合の修正要素を考慮する必要があります。

 

たとえば、スマホを使用しながらの運転や酒酔い運転、無免許運転は、著しい過失または重過失として、そのような運転をした側が10%から20%不利になります。

また、自転車に乗っている人が、児童や高齢者の場合は、自転車側が5%から10%有利になります。

自動車と自転車との交通事故における過失割合のパターン

自動車と自転車との交通事故における具体的な過失割合について、交差点での事故をもとに紹介します。往々にして自動車の方が過失が重くなることを理解してください。

信号のある交差点の場合

交差点は自動車と自転車との交通事故が起きやすい場所です。

信号がある場合は、信号を守っていれば過失が低くなります。

それでも自動車側の過失は0にならないことに注意しましょう。

 

自動車

自転車

過失割合(自動車:自転車)

100:0

90:10

70:30

40:60

20:80

信号のない交差点の場合

信号のない交差点の場合は、道幅、一時停止規制、優先道路、一方通行違反などの要素により異なります。

道幅

道幅の広い道路を走行している側の過失が小さくなりますが、自動車側が広い道路を走行していても、自転車の方が過失が低くなります。

 

道幅

過失割合(自動車:自転車)

同程度の道幅

80:20

自転車側が広い道路

90:10

自動車側が広い道路

70:30

一時停止規制

一時停止規制義務に違反した側のほうが過失が重くなりますが、自転車が違反した場合でも自動車のほうが過失が重くなります。

 

規制

過失割合(自動車:自転車)

自動車側に規制あり

90:10

自転車側に規制あり

60:40

優先道路

優先道路を走行していた方の過失が小さくなりますが、自転車が非優先道路を走行していたとしても過失割合は等しいものとされます。

 

優先

過失割合(自動車:自転車)

自転車側が優先

90:10

自動車側が優先

50:50

一方通行違反

一方通行規制に違反した方が過失が大きくなります。ただ、自転車が一方通行規制に違反しても過失割合は等しいものとされます。

また、一方通行規制は自転車は対象にならないケースも多いので注意しましょう。

 

違反車

過失割合(自動車:自転車)

自動車が違反

90:10

自転車が違反

50:50

自動車と自転車との交通事故における過失割合に納得できない場合は?

自動車と自転車との交通事故では、多くの場合、自動車側の保険会社が自転車を運転していた人に対して保険金を支払う形になります。

この場合、自動車側の保険会社が提示してくる過失割合は、自転車側の過失が一般的な事例よりも高くなっていることがあります。

納得できない場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談するべきです。

特に、交通事故によって自転車側が重症を追ったり後遺症が残ってしまった場合はなおさらです。

弁護士に交渉を依頼すれば、保険会社としても不適切な過失割合を示すことができなくなるため、適切な過失割合での賠償金の支払いに応じてくれるようになります。

まとめ

自動車と自転車との事故における過失割合について見てきました。

往々にして自動車の過失が重く認定されますが、交通事故のパターンはさまざまなので、自己の態様により、実際の過失割合は異なります。

自動車と自転車との事故における過失割合について疑問に思ったり、納得できない場合は、早めに弁護士にご相談ください。

 

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  • 弁護士
    大澤 栄一(おおさわ えいいち)
  • 経歴
    • 平成9年3月 一橋大学法学部卒業
    • 平成9年10月 司法試験合格
    • 平成10年4月 最高裁判所司法研修所入所
    • 平成12年3月 最高裁判所司法研修所卒業
    • 平成12年4月 弁護士登録、新麹町法律事務所入所
    • 平成17年3月(~平成18年2月)日本弁護士連合会代議員
    • 平成17年4月(~平成18年3月)東京弁護士会常議員
    • 平成21年12月(~平成25年11月)東京弁護士会綱紀委員
    • 平成25年4月(~平成26年3月)関東弁護士連合会理事
    • 平成27年4月(~現在)関東弁護士連合会「法曹倫理教育に関する委員会」事務局長
    • 平成30年4月 (~現在) 東京都弁護士協同組合総代
    • 令和2年4月 (~令和3年3月) 東京弁護士会常議員
    • 令和2年・3年 法政大学 臨時講師
  • 趣味
    プロ野球観戦、格闘技観戦、コンサート鑑賞
  • 学生時代
    野球(小学校)、陸上(中学校。国立競技場での大会に参加したこともあります!)、ハンドボール(高校)、ソフトボール(大学)

事務所概要Office Overview

名称 新麹町法律事務所
代表者 大澤 栄一(おおさわ えいいち)
所在地 〒102-0083 東京都千代田区麹町3-7-4 秩父屋ビル5F
TEL・FAX TEL:050-3138-2490 / FAX:03-3234-0510
対応時間 平日 / 10:00~17:30まで ※事前予約で時間外の対応可能
定休日 土・日・祝 ※事前予約で休日も対応可能
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