相続後に遺言書が見つかった場合の対処法
相続手続きが終わった後に、遺言書が見つかるというケースは珍しくありません。
すでに遺産分割が済んでいる場合、どうすればよいか戸惑う方も多いでしょう。
遺言書が見つかったら、まず法的に有効かどうかを確認し、その後に内容に沿って対応を考える必要があります。
今回は、相続後に遺言書が見つかった場合の具体的な対処法や注意点を解説します。
遺言書の種類と効力を確認する
遺言書にはいくつかの種類があり、どの形式かによって扱いが異なります。
まずは、見つかった遺言書が有効なものであるかどうかを確認するのが重要です。
遺言書の主な種類
遺言書の主な種類は、以下の通りです。
- 自筆証書遺言(本人が全文を手書きしたもの)
- 公正証書遺言(公証人が作成したもの)
- 秘密証書遺言(本人が内容を秘密にしたまま封印したもの)
公正証書遺言は原則として有効性が高く、そのまま効力を持ちます。
一方で、自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。
検認の手続き
検認とは、遺言書の偽造や変造を防ぐために、家庭裁判所が内容や保管状態を確認する手続きです。
封がされている場合は絶対に開けずに、すみやかに家庭裁判所へ申し出ましょう。
遺言書が無効となるケース
遺言書は、記載内容や作成の方法に問題があると、法的に「無効」と判断されることがあります。
- 署名や日付が記載されていない場合
- 内容が不明確で意味がはっきりしない場合
- 遺言作成時に意思能力がなかったとされる場合
- 遺言者の意思に基づかない作成が行われた場合
それぞれ確認していきましょう。
署名や日付が記載されていない場合
自筆証書遺言では、「全文・日付・氏名を自書し、押印する」ことが法律上の要件とされています(民法第968条)。
1つでも欠けていると、遺言書としての要件を満たさず、無効とされます。
内容が不明確で意味がはっきりしない場合
遺言の中身が抽象的で、実際に何を指しているのか判断できない場合には、法的効力が認められない可能性があります。
たとえば「私の財産は長男に任せる」といった表現では、どの財産をどう相続させたいのかがわかりません。
遺言作成時に意思能力がなかったとされる場合
遺言書は、本人が自分の判断で自由意思に基づいて作成しなければなりません。
そのため認知症が進行していたり、判断力に疑問があるような状況で作られたりした遺言書は、後に無効とされる可能性があります。
遺言の内容が公序良俗に反している場合
民法第90条によれば、公序良俗に反する法律行為は無効です。
よく見られるのは、不倫相手に遺贈を行うなどのケースです。
遺言者の意思に基づかない作成が行われた場合
詐欺や脅迫など、本人の自由意思に反して作成された遺言書も法的に無効になる可能性があります。
ただし上記に関しては、取り消しを行わないと無効になりません。
相続手続き後に遺言書が見つかった場合の対応
相続後に遺言書が見つかった場合でも、内容によっては再度手続きをやり直す必要が出てきます。
遺産分割協議や登記、預金の払い戻しなどがすでに済んでいた場合はどうなるのか、詳しく解説します。
原則として遺言の内容を優先する
民法では、「法定相続分よりも遺言の内容が優先される」とされています。
したがって、遺言書の内容が有効と認められる場合には、たとえ遺産分割協議が済んでいてもその内容に従わなければなりません。
たとえば遺言書に「長男にすべて相続させる」と記載があった場合、他の相続人が協議で財産を受け取っていたとしても、その分を返還しなければならない可能性があります。
ただし、相続人全員の合意が得られれば、遺言書の内容と異なる遺産分割もできます。
遺産分割協議が無効になる場合がある
相続人全員で話し合って合意した遺産分割協議であっても、後から遺言書が見つかった場合、その協議が無効となることがあります。
以下のようなケースです。
- 遺言執行者が指定されている場合
- 遺言による認知が行われている場合(新たに認知された子は法定相続人となるため)
- 相続人以外に遺贈している内容がある場合
- 相続人の廃除が記されている場合
なぜなら上記のケースでは、本来遺産分割協議に参加するべき人員の構成が、実際とは異なる可能性があるからです。
登記や預貯金手続きのやり直しが必要になる
すでに不動産の名義変更や預貯金の払い戻しが済んでいても、遺言書の内容によってはそれらの手続きをやり直す必要が出てきます。
不動産を本来相続するはずの人とは異なる人が名義変更していた場合、名義の戻しや再登記が求められるケースもあります。
財産がすでに処分されている場合も
相続手続きが終わって長い年月が過ぎてから、ふと遺言書が見つかることがあります。
しかしその時点では、遺言で指定された財産がすでに処分されていたり、現金が使われていて残っていなかったりするケースも少なくありません。
遺言書に「長男に土地を相続させる」と書かれていても、その土地がすでに売却されていれば、遺言書の内容通りに分けるのは現実的に不可能です。
現在残っている財産の範囲で分割し直すか、代わりとなる財産や金銭で調整するなど、相続人間での話し合いで妥当な解決策を見つける必要があります。
まとめ
遺言書は法定相続よりも優先されるため、内容によっては対応を見直さなければなりません。
場合によっては、再分割や登記のやり直しが必要です。
面倒だからといってそのまま放置すると、後々のトラブルにつながるため注意してください。
法律面でわからない部分がある場合は、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。
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- 弁護士
- 大澤 栄一(おおさわ えいいち)
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- 経歴
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- 平成9年3月 一橋大学法学部卒業
- 平成9年10月 司法試験合格
- 平成10年4月 最高裁判所司法研修所入所
- 平成12年3月 最高裁判所司法研修所卒業
- 平成12年4月 弁護士登録、新麹町法律事務所入所
- 平成17年3月(~平成18年2月)日本弁護士連合会代議員
- 平成17年4月(~平成18年3月)東京弁護士会常議員
- 平成21年12月(~平成25年11月)東京弁護士会綱紀委員
- 平成25年4月(~平成26年3月)関東弁護士連合会理事
- 平成27年4月(~現在)関東弁護士連合会「法曹倫理教育に関する委員会」事務局長
- 平成30年4月 (~現在) 東京都弁護士協同組合総代
- 令和2年4月 (~令和3年3月) 東京弁護士会常議員
- 令和2年・3年 法政大学 臨時講師
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- 趣味
- プロ野球観戦、格闘技観戦、コンサート鑑賞
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- 学生時代
- 野球(小学校)、陸上(中学校。国立競技場での大会に参加したこともあります!)、ハンドボール(高校)、ソフトボール(大学)
事務所概要Office Overview
| 名称 | 新麹町法律事務所 |
|---|---|
| 代表者 | 大澤 栄一(おおさわ えいいち) |
| 所在地 | 〒102-0083 東京都千代田区麹町3-7-4 秩父屋ビル5F |
| TEL・FAX | TEL:050-3138-2490 / FAX:03-3234-0510 |
| 対応時間 | 平日 / 10:00~17:30まで ※事前予約で時間外の対応可能 |
| 定休日 | 土・日・祝 ※事前予約で休日も対応可能 |