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みなし相続財産とは?該当する財産や知っておくべきポイント

みなし相続財産は、相続税法上で特殊な扱いを受ける財産です。

本記事では、その定義や特徴、代表例、非課税枠、申告手続きなど、重要なポイントを解説していきます。

相続対策に欠かせない知識ですので、ぜひご覧ください。

みなし相続財産とは

みなし相続財産について理解しておきたいことは2点です。

 

・定義と基本概念

・みなし相続財産の特徴

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

定義と基本概念

みなし相続財産とは、被相続人の死亡に伴って相続人が取得する財産のうち、法律上は相続や遺贈によるものではないにもかかわらず、相続税の課税対象として相続財産とみなされるものを指します。

これらの財産は、相続税法第3条に規定されており、相続税の公平性を確保するために設けられた制度です。

みなし相続財産の特徴

みなし相続財産の主な特徴は以下の通りです。

 

・被相続人の死亡を原因として取得する財産である

・法律上は相続や遺贈によるものではない

・相続税の課税対象となる

・一定の条件下で非課税枠が適用される場合がある

 

これらの特徴を理解することで、相続税の計算や申告時に適切な対応が可能となります。

代表的なみなし相続財産

みなし相続財産の代表的なものとして3つあります。

 

・死亡保険金

・死亡退職金

・相続時精算課税制度に基づく贈与財産

 

それぞれ詳しく解説していきます。

死亡保険金

死亡保険金は、被相続人が加入していた生命保険契約に基づいて、相続人が受け取る保険金のことです。

被相続人の死亡を原因として支払われるため、みなし相続財産として扱われます。ただし、一定の金額までは非課税となる特例があります。

死亡退職金

死亡退職金は、被相続人が勤務していた会社から、その死亡を理由に遺族に支払われる退職金のことです。

通常の退職金とは異なり、相続税の課税対象となりますが、こちらも一定の金額まで非課税となる特例があります。

相続時精算課税制度に基づく贈与財産

相続時精算課税制度とは、生前贈与を受けた財産を相続時に精算する制度です。

この制度を利用して贈与された財産は、相続時にみなし相続財産として扱われ、相続税の課税対象となります。

みなし相続財産の該当例

みなし相続財産に該当する例として、一般的な例と特殊なケースがあります。

一般的な該当例

一般的なみなし相続財産の該当例には、生命保険金(死亡保険金)、損害保険金の死亡保険金、退職金や功労金などの死亡退職金、相続時精算課税制度を利用した贈与財産があります。

特殊なケースの該当例

特殊なケースのみなし相続財産には、死亡した者の生命保険契約に関する権利、定期金に関する権利などがあります。

これらのケースは頻度は少ないものの、該当する場合は相続税の計算に大きな影響を与える可能性があります。

みなし相続財産の非課税枠

みなし相続財産に適用される非課税枠について、大切なことが2つあります。

・非課税限度額の計算方法

・非課税枠の適用条件と注意点

それぞれ詳しく説明していきます。

非課税限度額の計算方法

非課税限度額は、以下の計算式で求められます。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の場合、非課税限度額は500万円 × 3人 = 1,500万円となります。

ただし、死亡保険金と死亡退職金では、それぞれ別個に非課税枠が適用されます。

非課税枠の適用条件と注意点

非課税枠の適用には、いくつかの条件と注意点があります。

 

・受取人が法定相続人または包括受遺者であること

・生命保険金と死亡退職金は、それぞれ別々に非課税枠が適用される

・非課税枠を超える部分は課税対象となる

・相続時精算課税制度を利用した贈与財産には非課税枠が適用されない

 

これらの条件を理解し、適切に非課税枠を活用することが重要です。

みなし相続財産の申告手続き

みなし相続財産の申告に際して、大切なことが3つあります。

 

・必要書類と準備

・申告の流れ

・申告時に注意すべきポイント

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

必要書類と準備

みなし相続財産の申告に必要な主な書類は、相続税の申告書、財産目録、死亡保険金や死亡退職金の支払証明書、相続時精算課税制度を利用した場合の贈与税の申告書の写しなどです。

申告の流れ

みなし相続財産の申告の一般的な流れは、相続財産の把握と評価、みなし相続財産の確認と評価、非課税枠の計算、相続税の計算、申告書類の作成、税務署への提出となります。

申告時に注意すべきポイント

みなし相続財産の申告時に注意すべき主なポイントは以下の通りです。

 

・みなし相続財産の正確な把握と評価

・非課税枠の適切な適用

・相続時精算課税制度を利用した贈与財産の取り扱い

・申告期限の厳守(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)

 

これらのポイントに注意を払うことで、適切な申告と納税が可能となります。

まとめ

みなし相続財産は、相続税計算において重要な役割を果たします。

その特徴や種類、非課税枠、申告手続きなどを正しく理解することが、適切な相続対策につながります。

複雑な制度のため、不安がある場合は専門家への相談をおすすめします。

適切な対応により、円滑な相続と節税が可能となるでしょう。

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大澤栄一弁護士の写真

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  • 弁護士
    大澤 栄一(おおさわ えいいち)
  • 経歴
    • 平成9年3月 一橋大学法学部卒業
    • 平成9年10月 司法試験合格
    • 平成10年4月 最高裁判所司法研修所入所
    • 平成12年3月 最高裁判所司法研修所卒業
    • 平成12年4月 弁護士登録、新麹町法律事務所入所
    • 平成17年3月(~平成18年2月)日本弁護士連合会代議員
    • 平成17年4月(~平成18年3月)東京弁護士会常議員
    • 平成21年12月(~平成25年11月)東京弁護士会綱紀委員
    • 平成25年4月(~平成26年3月)関東弁護士連合会理事
    • 平成27年4月(~現在)関東弁護士連合会「法曹倫理教育に関する委員会」事務局長
    • 平成30年4月 (~現在) 東京都弁護士協同組合総代
    • 令和2年4月 (~令和3年3月) 東京弁護士会常議員
    • 令和2年・3年 法政大学 臨時講師
  • 趣味
    プロ野球観戦、格闘技観戦、コンサート鑑賞
  • 学生時代
    野球(小学校)、陸上(中学校。国立競技場での大会に参加したこともあります!)、ハンドボール(高校)、ソフトボール(大学)

事務所概要Office Overview

名称 新麹町法律事務所
代表者 大澤 栄一(おおさわ えいいち)
所在地 〒102-0083 東京都千代田区麹町3-7-4 秩父屋ビル5F
TEL・FAX TEL:050-3138-2490 / FAX:03-3234-0510
対応時間 平日 / 10:00~17:30まで ※事前予約で時間外の対応可能
定休日 土・日・祝 ※事前予約で休日も対応可能
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